足立 唯 −「チーズが好き」から生まれた縁


インタビュー第2回は2021年入社の足立唯さん。
実は8年前からアンジュの販売スタッフをしてくれた親しい存在です。




 
足立唯(あだち・ゆい) 札幌市出身。2010年札幌市立高等専門学校専攻科(現・札幌市立大学デザイン学科)卒。木工制作の傍ら飲食店、食品イベント、チーズショップ等で働く。’’15年コムラード・オブ・チーズ(チーズプロフェッショナル)取得。’18年〜JR北海道車内誌に連載。2021年4月に入社し販売と製造を担当。


興味のあることをやろうと決めていた

----- 以前、足立さんは木工品の受注制作をしながら、札幌のマルシェやフードイベント、道外の北海道催事のスタッフをしていましたね。

アンジュ・ド・フロマージュの社員にして頂いて2年になりました。アンジュとは2015年頃に催事販売のお手伝いを始めたのがご縁で、黒松内にも度々遊びに行っていました。今も春と秋の年2回、東京、千葉、広島、香川などを担当しています。採用のお話があったのは2021年3月、デパート催事で高松にいた時に聖子さんからお電話があって、「黒松内町に(町おこし協力隊として)移住して、アンジュの社員になりませんか」と。チーズが大好きな私にとっていいことづくめのお話で、すぐにお返事しました。



----- 長い本州出張から札幌に戻り、翌月には黒松内へ。フットワークの良さに驚きます。

20代は興味のあるものにとりあえず飛び込んでみようと思っていたので、「やりたいことは全部やってみよう」と。飛び込んでみるとまた次の出会いがあって、自分の心が動くことや人のご縁で動いてきたという感じです。そうした生き方に私自身は納得していたけれど、親や周囲に心配をかけたり、失敗したこともありました。今は、アンジュに辿りつけて本当によかったと思っています。


----- 北海道に数多いチーズ工房のほとんどに足を運んでいますね。

国内外のチーズを扱う専門店で働いたり、道産チーズフェアで専門家のアシスタントをしたりしたのがきっかけです。世代の近いチーズ職人の知り合いができて、休暇にチーズ仲間と旅もたくさんしました。勉強や資格のためではなくて、楽しいから自然にそうなったという感じです。

----- そこまで食に興味を持ったのはいつから?

子供の頃は引っ込み思案なタイプで、喘息もあったのでインドア派な子でした。手先は器用なほうで、子ども雑誌の付録づくりとか自由研究の制作が大好きでしたね。得意科目は図工、技術、家庭科。あと、給食が好きすぎて給食当番でもないのに毎日配膳をしていました(笑)。



-----  販売業務は一人で長期出張するなど、なかなか大変そうです。

例年、春と秋の催事シーズンは、道外を移動しながら約1ヶ月過ごします。お客様と接していると、地域によって人との距離感や好まれる商品にどことなく違いがあって、それがとても面白いんです。そうしたお客様の反応を見ながら、POPの書き方や陳列を変えるなど毎日工夫するんです。

----- 毎年同じ土地を巡ると、各地に詳しくなりそうです。

はい、ひとりごはんも好きなので、時間を見つけてカフェや飲食店へ行くのも楽しみです。素敵だなあと思ったお店には何度も通います。「お仕事ですか?」なんて会話から、自然とチーズの営業ができることもあります。



大好きなチーズが仕事になっていった

----- 入社後に、チーズの製造も始めたんですね。

作る側になろうと目指していたわけではないのですが、チーズを食べることが本当に好きなんです。モッツァレラならひとつ食べちゃうくらい(笑)。チーズフェアなど全道の製品が集まる機会には、ほとんどのチーズを食べています。単なる一ファンの立場だから、幅広く食べたり工房に行ったりできたのかもしれません。

-----多くのチーズを食べてきて、今の北海道のチーズをどう感じていますか。

本当に美味しくなっていると思います! 今は30-40代のチーズ職人さんが独立や後継ぎで主役になってきて、お互いに学び合う雰囲気があるんですよ。料理やワインのプロの人たちとの交流も多くて、そこからチーズの新たなヒントが生まれたり。関係者同士のいいつながりがあるから、全体の進化が早いのかなと思います。

もうひとつ、催事で一番道産チーズを買って下さるのは、実は北海道のお客様なんです。地元のチーズを楽しむ方が多いというのは、とても嬉しいですね。

——- では、作る側になることに戸惑いはなかった?

アンジュで私が今後できるとすれば「自分が売りたいチーズ」を作ることかなと。外部スタッフで販売していた頃から「こんなチーズもあればお客様が喜んでくれるかも」というイメージは持っていたので、もしもそれを製品にすることができれば、催事販売もますます楽しくなるだろうと思っています。



アンジュの白カビを受け継ごう

-----今の製造状況を教えてください。

入社以来、三浦さんに教わりながら白カビタイプと酸凝固タイプを製造しています。毎日工房に入って、教わったその通りにやったと思っても、仕上がりは三浦さんと違う。カードづくりから既に違いが出るので、まだまだ勉強です。けれど、先輩と全く同じでなくてもいいという社風なので、いつかアンジュらしさの中に自分のチーズも加わったらいいな、と思っています。



----- アンジュらしさ、ですか。

食べる側として感じていたのは、癖のない素直さ、でした。食卓に出したらみんながおいしいねというような、バランスの良さが持ち味です。その素直さは多分、シンプルな製法を守っているから。作る側の立場になった今、そのことを感じています。//


(写真・取材・文/オフィスYT


※アンジュの常時お取扱店様では、主にモッツァレラと白カビタイプがお求めになれます。
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